在宅医療現場で、もっと活躍してほしい職種「言語聴覚士(ST)」について
こんにちは、タツミ訪問看護ステーション鷺沼の高橋です。
本日は、近年、訪問看護ステーション~在宅療養での活躍が広がっている言語聴覚士(ST)の在宅医療現場での重要性についてお話したいと思います。
さっそくですが、こちらのグラフを見てください。
参照元:JVNF 公益財団法人 日本訪問看護財団「訪問看護の現状とこれから2021年版」
このグラフは、訪問看護ステーションの訪問看護従事者における職種別職員割合を表したものです。
常勤換算では、看護師(保健師・助産師含む)が64.4%、准看護師が6.2%となっています。
セラピストは、理学療法士が14.2%、作業療法士が6.4%、言語聴覚士が1.4%となっています。
まだまだ言語聴覚士の訪問看護ステーション=在宅医療分野での活躍は少ないのが現状です。
言語聴覚士(ST)の在宅医療現場での重要性について
在宅医療が進む近年、言語聴覚士は、医療機関や福祉施設、教育現場だけでなく、地域医療において重要な役割を担っています。
こちらのグラフを見てください。
参照元:JVNF 公益財団法人 日本訪問看護財団「訪問看護の現状とこれから2021年版」
このグラフ訪問看護ステーションの利用者傷病別内訳を表したものです。訪問看護ステーション利用者の傷病別内訳では、脳血管疾患が15.4%で最も多くなっています。
言語聴覚士は、言葉によるコミュニケーションに問題がある方に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を構築できるよう支援する専門職です。
言葉によるコミュニケーションの問題として代表的なことの一つに脳血管疾患による失語症、聴覚障害、言葉の発達の遅れ、声や発音の障害などがあります。
言語聴覚士は、これらの問題の本質や発現メカニズムを明らかにし、対処法を見出すために検査・評価を実施し、必要に応じた訓練、指導、助言、その他の援助を行います。
このように、訪問看護ステーションの利用者で最も多い傷病である脳血管疾患において、重要なリハビリテーションを行うのが言語聴覚士ということです。
言語聴覚士が専門的にアプローチすることで
在宅の現場では、言語聴覚士は、医師・歯科医師・看護師・理学療法士・作業療法士などの医療専門職、そしてケアマネジャー・介護福祉士・ケースワーカーなどの福祉・保健専門職など関係者で連携して仕事をしていきます。
円滑なコミュニケーションが取りにくくなっている方に対し、言語聴覚士が専門的にアプローチすることで、関係者との連携が取りやすくなり、生活の質はさらに維持向上されやすくなります。
また、近年では、病院での在院日数の短縮化に伴い,十分な身体機能の回復を見ないままに退院に向かわざるを得ないケースが増えています。
退院後も病院などの医療機関だけの関わりだけでは継続的な支援が行えず、十分ではないことも多いのです。
不十分なままの在宅復帰は、嚥下機能やコミュニケーションに問題を抱える方々にとって不安が募ります。
実際、高齢者の死亡原因として誤嚥性肺炎の割合が増加しています。
こうした背景からも、在宅分野での言語聴覚士の存在・関わりが重要なことがわかります。
言語聴覚士の在宅医療分野での役割
今回お話しした内容をまとめると、言語聴覚士の在宅医療分野での役割として…
・心身機能の機能回復・維持のため,専門的な言語聴覚療法・摂食嚥下療法を行う。
・医療・福祉専門職と連携しながら円滑なコミュニケーション、安全に食事ができるように支援する。
といった在宅療養者が安心して暮らせるための大変重要な役割を担っています。
ちなみに当ステーションにも、言語聴覚士(ST)が週4日で勤務しておりご利用者様、各連携先から沢山の喜びの声を頂戴しております。
さいごに
在宅医療分野では、こうした役割への理解が浅いようですが、理解を深める啓蒙活動を行うことも、言語聴覚士の社会的意義につながると思っています。
最後になりますが、私が訪問看護で関わっているご利用者で、嚥下や発話に悩んでおられる方は、まだまだたくさんいらっしゃいます。
言語聴覚士の訪問看護ステーションでの活躍に期待しています。